筋肉・神経・痛みの基礎
サルコペニアとは?40代から知っておきたい筋力低下のサインと予防
この記事でわかること
- サルコペニアは加齢などで筋肉量・筋力・身体機能が低下した状態。40〜50代から少しずつ進みます
- 「指輪っかテスト」「歩くのが遅い」「ペットボトルの蓋が開けにくい」などが手がかり(あくまで目安)
- 予防の二本柱は、続けられる運動(とくに筋トレ)と、十分なたんぱく質。今からでも始められます
監修:長野圭佑 (柔道整復師・鍼灸師 / からだ鍼灸整骨院)
専門家の確認を経て公開しています。 編集:100年動くからだラボ編集部
「最近、歩くのが遅くなった」「ペットボトルの蓋が開けにくい」「つまずきやすい」——年齢を重ねて感じるこうした変化の背景に、「サルコペニア」が関わっていることがあります。
サルコペニアは、加齢などにともなって筋肉量・筋力・身体機能が低下した状態を指す言葉です。むずかしい専門用語に聞こえますが、知っておくと「年だから仕方ない」とあきらめず、早めに手を打つきっかけになります。この記事では、サルコペニアのサインと、自分でできるチェック、予防の考え方をやさしく整理します。なお、ここで紹介するのは一般的な情報であり、診断ではありません。
サルコペニアとは?
サルコペニアは、加齢や生活習慣によって筋肉量が減り、筋力や身体機能(歩く・立つなど)が低下した状態です。進むと、転倒・骨折や、生活に手助けが必要になるリスクが高まると指摘されています。心身の活力が低下した状態「フレイル」とも深く関わります。
筋肉量は中年期からゆるやかに減りやすく、サルコペニアは40〜50代から少しずつ始まり、年齢とともに増えていくと考えられています。だからこそ、早めに知っておくことに意味があります。
なぜ起きる?──3つが重なる
筋肉が落ちる背景は、ひとつではありません。
- 加齢:年齢とともに筋肉量・筋力は変化しやすくなります。
- 使う量の低下:体を動かす機会が減ると、筋肉は落ちやすくなります。
- 栄養(たんぱく質)の不足:食が細くなり、筋肉の材料が不足しがちになります。
これらが少しずつ重なって進むのが特徴です(くわしくは 50代から筋肉が落ちやすい理由 もご覧ください)。逆に言えば、どれも見直せるところということでもあります。
自分でできるチェック(あくまで目安)
医療機関では握力(男性28kg・女性18kg未満が目安)や歩く速さ(秒速1.0m未満)などで評価しますが、ふだんの暮らしの中でも、次のようなサインが手がかりになります。
- 指輪っかテスト:ふくらはぎの一番太いところを、両手の親指と人差し指で軽く囲みます。隙間ができる人は要注意。
- 横断歩道を青信号のあいだに渡りきれない(歩く速さの目安)
- ペットボトルや瓶の蓋が開けにくい(握力の目安)
- 片足立ちでふらつく/椅子から手を使わずに立てない
東京大学の地域高齢者の研究(柏スタディ)では、指輪っかテストで隙間ができる人はサルコペニアの危険度が高く、2年後に新たに発症するリスクも高まると報告されています。
予防の二本柱──運動とたんぱく質
サルコペニアの対策は、むずかしいものではありません。鍵は2つです。
① 続けられる運動(とくに筋肉に少し負荷をかけるもの) 日本の身体活動・運動ガイド2023は、成人も高齢者も週2〜3回の筋力トレーニングをすすめています。自重スクワット、椅子からの立ち座り、かかと上げなど、自宅でできるもので十分。歩くこと(1日何歩?)と組み合わせると、より効果的です。
② 十分なたんぱく質 筋肉の材料となるたんぱく質を、1日3食で取り入れます(目安は たんぱく質は一日何グラム? を参照)。運動と食事はセットで考えると、動けるからだづくりを支えやすくなります。
こんなときは相談を(受診・相談の目安)
- 急に筋力が落ちた・体重が減った・食事量が大きく減った
- 転びやすくなった、転倒した
- 痛みやしびれが強い、長く続く
- 持病がある方(とくに腎臓病などで食事制限を受けている場合、たんぱく質を自己判断で増やさない)
気になる変化があるときは、医療機関や専門家にご相談ください。運動を続けたい・始めたいけれど一人では不安、という方は、専門家のいる場(からだフィットなど)を活用するのも一つの方法です。
まとめ
- サルコペニアは、加齢・活動量の低下・栄養不足が重なって、筋肉量・筋力・身体機能が低下した状態。40〜50代から意識を。
- 指輪っかテストや歩く速さ、握力の変化が、気づきの手がかりになります(あくまで目安)。
- 予防の二本柱は、続けられる運動(とくに筋トレ)と十分なたんぱく質。いまから始められます。
年齢を重ねてからでも、できることはあります。無理のない範囲で、続けられることから始めてみましょう。新しい記事は LINE でお届けします。
参考にした情報
- Chen LK ほか「Asian Working Group for Sarcopenia: 2019 Consensus Update on Sarcopenia Diagnosis and Treatment」JAMDA, 2020(握力・歩行速度・筋肉量の評価基準)( https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32033882/ )
- 健康長寿ネット(公益財団法人 長寿科学振興財団)「サルコペニア」「指輪っかテスト(東京大学・柏スタディ)」( https://www.tyojyu.or.jp/net/ )
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「サルコペニア」
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
(出典の確認日:2026年6月29日。一次情報の最終確認は監修時に行う。)
※この記事は、一般的な健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療を行うものではありません。効果や感じ方には個人差があります。急な筋力低下や体重減少など気になる症状があるときは、自己判断せず、医療機関や専門家にご相談ください。
よくある質問
サルコペニアは何歳から気をつければいいですか?
筋肉量は中年期から少しずつ減りやすくなるため、40〜50代から意識しておくと安心です。早く気づくほど、運動や食事で対策しやすくなります。年齢にかかわらず、気になるサインがあれば見直すきっかけにしてください。
指輪っかテストで隙間ができたら、サルコペニアなのでしょうか?
いいえ、確定ではありません。指輪っかテストは「リスクが高めかどうか」を簡単に見分けるスクリーニング(ふるい分け)です。隙間ができる人はサルコペニアの危険度が高めと報告されていますが、診断は医療機関での評価が必要です。気になるときは専門家にご相談ください。
もうサルコペニア気味でも、いまから改善できますか?
運動と栄養によって、年齢を重ねても筋力の維持や回復を目指せるとされています。「年だから」とあきらめず、無理のない範囲で続けられることから始めるのがおすすめです。持病のある方は、始める前に専門家にご相談ください。
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